重要文化財が立ち並ぶ、横浜の穴場観光スポット「三溪園」

横浜市の中心都市部から少し離れた中区本牧にある日本庭園「三溪園」。園内には多くの重要文化財もある、知る人ぞ知る名園です。

市外からの観光客はあまり多くないかもしれませんが、園内は見どころが満載で、横浜の観光穴場スポットといえるでしょう。今回は、三溪園の魅力と歴史に迫ります。

重要文化財を多くもつ「日本国指定名勝」

(出典:三溪園公式ホームページ)

三溪園は、横浜の実業家で茶人でもあった原三溪によって造られ、1906(明治39)年に公開された日本庭園です。「日本国指定名勝」という、芸術上または観賞上価値が高い土地として国に指定され、由緒ある名園として110年以上にわたって維持されています。

園の広さは、なんと175,000平方メートル。とても広大な敷地なので、三溪園の公式ホームページには「おすすめコース」が紹介されています。このコースを散策すると90〜120分ほどかかるそうなので、三溪園を訪れる際は、スニーカーなど歩きやすい靴がおすすめです。

園内には、国の重要文化財建造物が10棟、横浜市指定有形文化財建造物が3棟もあり、自然豊かな風景とともに、さまざまな建築物を見ることができます。

室町時代に建てられた「旧燈明寺三重塔」や「旧燈明寺本堂」、豊臣秀吉が建てた「旧天瑞寺寿塔覆堂」、徳川家康が建てた「月華殿」はいずれも重要文化財です。建てられてから数百年の時を経た今もなお、趣のある数々の建築物を見ることができます。

園内の四季折々の自然も、見どころのひとつ

三溪園では、四季折々の表情も眺めることができ、桜や紅葉の時期には地元横浜の住民が楽しむ場所になっています。

春はサクラ(桜)やフジ(藤)、夏はスイレン(睡蓮)、ハナショウブ(花菖蒲)、ハス(蓮)、秋はモミジ(紅葉)やヒガンバナ(彼岸花)、冬はスイセン(水仙)やツバキ(椿)など数々の花が咲き誇ります。

季節ごとに咲く花に合わせた催し物も多く開催されています。2月は「観梅会」、3〜4月は「桜めぐり」、4〜5月は「新緑の遊歩道開放」、7〜8月は「観蓮会」、11月は「紅葉のライトアップ」、11月〜12月は「紅葉の遊歩道開放」といったように、一年中イベントが楽しめるんです。

中でも、三溪園は全国でも有数の蓮の名所になっており、夏の暑い時期には、咲いたばかりの蓮や、蓮の葉シャワーなどを観賞することができます。三溪園を造った原三溪は、蓮を「泥の中から清らかな花を咲かせる、徳の高い花」であるとして愛好したそうです。

たとえば3か月に1回など、定期的に三溪園を訪れてみると、同じ庭園ながら違う風景が楽しめます。その季節ならではの園内の表情を、たっぷり楽しんでください。

三溪園の歴史

三溪園がある横浜・本牧地区はかつて何もなかった場所でした。三溪園の生みの親である原三溪は、この広大な敷地の起伏を生かして庭園を造り、そこへ京都など他都市から古建築を購入して移築しました。そして、1906(明治39)年に公開されたのです。

国宝級の美術品も多数所蔵していましたが、第二次世界大戦の横浜大空襲により一部の建造物を失ってしまいました。その後、原家から横浜市に三溪園が譲渡・寄贈されたことをきっかけに庭園の整備が始まります。1970年1月には本牧海岸の埋め立てに伴って、海側に南門が設置されました。

(出典:今昔マップ on the web)

戦火を逃れた美術品が多く見られるのが、「三溪記念館」です。1か月ごとに展示替えをしているので、訪れるたびに違う美術品を鑑賞できそうです。また、園内には食事処や、おみやげを買える売店もあり、さまざまな楽しみ方ができます。

三溪園に行くには、駅からバスを利用することになります。横浜駅、桜木町駅、元町・中華街駅、根岸駅から横浜市営バスを利用し、最寄りバス停から5〜10分ほど歩くと着きます。あるいは、横浜駅と桜木町駅から「ぶらり三溪園BUS」に乗ると、三溪園の駐車場内にあるバス停で降りることができます。詳しくは、三溪園の公式ホームページでご確認ください。

四季折々の楽しみ方ができる三溪園。横浜市民の皆さんはもちろん、周辺地域にお住まいの方も、ぜひ足を運んで見てください。

【スポット情報】
三溪園
住所: 横浜市中区本牧三之谷58-1
電話: 045-621-0634
入場料: 大人(高校生以上) 700円、こども(小中学生) 200円、横浜市内在住の65歳以上 200円
※団体割引、回数券、年間パスポート、前売券あり
※障害者手帳をお持ちの方は、入園料金が免除になります
開園時間: 9:00~17:00(入園は16:30まで)
※イベント時は開園時間を変更する場合があります。詳しくは「催物のご案内」「お知らせ」などをご覧ください。
休園日: 12月29日~12月31日
URL: https://www.sankeien.or.jp

この記事を書いた人

  ライター名  御代 貴子
プロフィール 横浜に何かと縁があるフリーライター。幼少期の夏休みは横浜の親戚の家で過ごし、大学生活も横浜で送る。現在も神奈川県在住。東北の港町で育ったせいか、海辺の街並みが好き。趣味は飲酒しながらの料理。

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