みなとみらい21地区の中でも、海に面した場所にある「横浜ハンマーヘッド」。現在は商業施設やリゾートホテルがあり、多くの人が訪れるスポットになっています。
この場所はなぜ「ハンマーヘッド」という特徴的な名前なのでしょうか。その歴史を紐といてみましょう。
今は、お出かけスポットとして人気の「横浜ハンマーヘッド」
「横浜ハンマーヘッド」といえば、たくさんのショップやレストラン、そして洗練されたデザインが美しいリゾートホテル「InterContinental Yokohama Pier 8」を思い起こす人が多いと思います。
大型客船やシーバスの乗り場もあり、港町ならではの風景が広がっているスポットです。
このエリアが今の姿になったのは2019年のことですが、実は、国際貿易港ならではの歴史がたっぷり詰まっているのです。
貨物が多すぎてパンク状態だった横浜港
時は19世紀にさかのぼります。横浜港では1896(明治29)年に大さん橋や防波堤ができ、その後、産業が盛んになるとともに、貿易量もどんどん増えていきました。
ところが、横浜港へやって来る貨物船があまりにも増えたため、着岸できない船は海の上で渋滞する状態となってしまい、荷物の積み下ろしを小さなボートで行わざるを得なかったのです。
この巨大なクレーンはイギリス製で、最大50トンまで運ぶことができるものでした。金づちに似ていることから、親しみをこめて「ハンマーヘッドクレーン」と呼ばれたといわれています。
近代産業遺産となったハンマーヘッドクレーン
ハンマーヘッドクレーンはかなり頑丈に造られており、関東大震災でも壊れることなく活躍し続けました。
第二次世界大戦後はGHQに接収されて使えない時期もありましたが、その後、1960年代まで横浜港の貿易を支え続けました。1970年代以降はコンテナ化が進んだためその役目を終えましたが、今もなお、新港ふ頭のシンボルとして残されています。
ハンマーヘッドクレーンは、荷役の役割を終えてからは国が管理しており、再塗装などをしながら保存されています。2007年に経済産業省の近代化産業遺産に認定され、さらに2018年には土木学会選奨土木遺産にもなりました。
都市計画「みなとみらい21事業」がスタート
1981(昭和56)年になると、みなとみらい21地区の都市開発が始まります。水と緑にあふれた「新たな都心」を造るコンセプトで、商業施設や遊園地、ホテルなどが次々に建てられました。
新港ふ頭エリアも新しいスポットとして生まれ変わり、汽車道や横浜赤レンガ倉庫など、多くの人が集まる場所となりました。
そして2019(令和元)年には、商業施設である「横浜ハンマーヘッド」がオープン。長年にわたり横浜港の貿易を支えてきたハンマーヘッドクレーンの名を受け継ぎ、多くの人が観光やショッピングで訪れる場所となりました。
また、この建物内には新港ふ頭客船ターミナルもあります。税関や出入国管理、検疫の機能もあり、国際客船にも対応したターミナルです。
さらには、横浜駅などの近場へ移動するシーバスの乗り場もあります。10〜15分の気軽な海の旅を味わえて、天気がいい日には最高の景色も楽しめます。
ハンマーヘッドクレーンは、新港ふ頭の先端で、今もみなとみらい21地区を見守り続けています。この一帯は「ハンマーヘッドパーク」と呼ばれ、横浜ハンマーヘッドの建物内から橋がかけられていて、歩いて行くことができます。
みなとみらい21地区へ行く際には、横浜ハンマーヘッドへもぜひ行ってみてはいかがでしょうか。横浜港の歴史を思い起こしながら、ショッピングや食事を楽しんでくださいね。
【スポット情報】横浜ハンマーヘッド
- 住所: 横浜市中区新港2-14-1
- 電話: 045-211-8080
- 営業時間: 店舗により異なる
- 定休日: なし