日本の近代化に大きく貢献。横浜港開港とともに発展してきた通り「馬車道」

観光やデートスポットとして人気のみなとみらいには、日本の近代化に大きく貢献した「馬車道」があるのをご存知ですか?横浜市中区にある通りの名で、横浜市民にとっては馴染み深い場所です。

アイスクリームやガス灯などの日本の発祥の地でもあり、現在でも異国情緒あふれた雰囲気を残す「馬車道」。観光や散歩をしながら、横浜の歴史を感じてみてはいかがでしょうか。

馬車道の歴史

横浜市営地下鉄「関内駅」近くにある吉田橋から、東京藝術大学馬車道校舎がある「本町通り交差点」まで続く「馬車道」。その名は正式な町名ではなく、地元民から親しまれてきた通称です。

馬車道は日本初の西洋式道路である「日本大通り」と同じ、江戸時代の1866年に開通しました。

(出典:馬車道商店街協同組合公式サイト

幕末に横浜港が開港したことで、現在の関内駅周辺は外国人の居留地となったのです。そのため、外国人の移動手段として馬車が行き交うようになり「馬車が通る道=馬車道」と呼ばれるようになりました。

現在でも、当時の面影を感じられる貴重な建物が多く残されていて、観光地としても人気があるスポットです。

開通当時から馬車道沿いにはお店があり、現在も馬車道商店街として親しまれています。商店街の長さは780mで、幕末から大正時代にかけて創業した「平安堂薬局」や「和菓子松むら」など、いくつもの老舗店が現在も商店街の中で営業しています。

そのほか、舶来雑貨店や飲食店など、約150店舗が軒を連ね、歴史と近代的な雰囲気が融合した魅力のある商店街です。

地元の人々に親しまれてきた馬車道が、観光地として広まったのは、2004年の横浜高速鉄道みなとみらい線開通の時期。馬車道のある地域に停車する駅名が「馬車道駅」となったことがきっかけで、訪れる人々も増えました。

(出典:みなとみらい線公式サイト

馬車道駅構内は、異国情緒あふれるおしゃれなレンガ造りの駅舎になっているので、見応えがあります。ぜひ訪れてみてくださいね。

馬車道周辺のオススメスポット4選

馬車道駅周辺には、横浜の歴史を知ることができるスポットがたくさんあります。ここでは、馬車道駅から徒歩で行けるオススメの場所を4つご紹介します。

横浜県立歴史博物館(馬車道駅から徒歩2分)

神奈川県の歴史と文化を紹介する博物館で、1904年に横浜正金銀行本店として建てられました。

1969年に国の重要文化財に指定された外観は、正面にみえる巨大なドームが特徴的。欧州の19世紀後半期に見られる芸術「ネオ・バロック様式」を取り入れており、重量感のある建物はとても見応えがあります。

馬車道十番館(馬車道駅から徒歩4分)

(出典:馬車道十番館Facebook

明治時代の建築様式を再現した、異国情緒ある西洋館です。館内には喫茶店やレストランなどがあり、明治時代のレトロな雰囲気を楽しみながら、お食事を堪能できます。

また、文明開化の時期を感じられるグラスコレクションや数々の資料が保存されており、横浜の歴史を感じるひとときが過ごせること間違いなし。

横浜開港資料館(馬車道駅から徒歩5分)

幕末の開国から昭和初期までの横浜の歴史について展示されている資料館です。横浜開港資料館は、開港百年を記念してまとめられた「横浜市史」の収集資料をもとに、1981(昭和56)年に開館しました。

常設展のほかに、企画展も年に4回ほどあり、1年を通して訪れる楽しみがあります。

横浜三塔

横浜市中区にそびえ建つ、神奈川県庁本庁舎(キングの塔)、横浜税関(クイーンの塔)、横浜市開港記念会館(ジャックの塔)の総称です。

それぞれの建物が「キング、クイーン、ジャック」と呼ばれるようになったきっかけは、昭和初期の頃に訪れていた外国船員が、トランプのカードに見立てて呼んだことが由来と言われています。

建物が完成した当時は、周辺に目立つ建物がありませんでした。そのため、船員たちが航海から横浜校へ入港するための目印となっていたのです。

都市開発が進み、現在では周辺に建物が増えて見えにくくなっていますが、三塔を一度に見渡せるスポットがあります。実際に立ってみると、当時の外国船員の気分が味わえそうですよ!

  • 県庁の正面
  • 横浜赤レンガ倉庫
  • 大さん橋国際ターミナル

「この3カ所を1日のうちに全てまわると願いが叶う」という都市伝説もあるのだとか。歴史を感じながら願いも叶えてしまうスポット?!気になる方は、ぜひ訪れてみてくださいね。

馬車道には「日本の発祥」がたくさん

横浜港のすぐそばにあった馬車道は、開港した影響でさまざまな外国文化の玄関口となっていました。

今では私たちの日常に当たり前に溶け込んでいるものが、馬車道から始まり全国に広まっていったのです。

そんな馬車道には、日本の発祥の地となっているものがたくさんあるんですよ。

アイスクリーム

子どもから大人まで、みんな大好きアイスクリーム。その始まりとなった「アイスクリン」は、馬車道から誕生しました。

日本人とアイスクリームの出会いは江戸時代末期。幕府が派遣した使節団(国を代表して外国を訪れる団体)が、訪問先のアメリカで出されたアイスクリームのおいしさに驚いたといわれています。

その様子を記した「柳川日記」には「珍しき物あり。氷をいろいろに染め、ものの形を作り、是を出す。味は至って甘く、口中に入るるに忽ち溶けて、まことに美味なり。之をアイスクリンといふ」と書かれています。(参考:日本アイスクリーム協会公式サイト

こうして日本に持ち込まれたアイスクリームは、明治2年1869年5月9日、使節団の一員であった町田望蔵が馬車道通りで、日本人として初めてアイスクリンの製造販売を始めました。当時のアイスクリンは、牛乳と卵黄と砂糖を混ぜたシンプルなものだったそう。

今では手軽に食べられるアイスクリームですが、初めてアイスクリンを食べた人々は、きっとそのおいしさにビックリしたでしょうね。

日本アイスクリーム協会では、アイスクリンの販売がスタートした5月9日を「アイスクリームの日」に制定。馬車道商店街では、記念日に合わせて5月9日にアイスクリーム発祥イベントが行われます。

イベント内では、チャリティー募金に協力すると、先着5000名に無料で馬車道アイスが配られたり、マルシェが行われたりと、多くの人々で賑わいます。

ガス灯

馬車道では、1872年(明治5年)10月31日、高島嘉右衛門の「日本ガス社中」により、日本で初めてのガス灯が点灯されました。当時、提灯などを使用していた日本人にとっては、とてもまぶしい灯りだったと言われています。

このガス灯をきっかけに、日本の都市ガス事業が展開されてい気ました。馬車道では、現在もガス灯が灯されているので、暗くなってから巡るのも、お昼の雰囲気とは一味違った雰囲気の馬車道を楽しめそうですね。

その他にも

  • 近代街路樹写真館
  • 写真館
  • 日刊新聞
  • 鉄製の橋

など、今では身近にあるものの発祥の地とされており、馬車道周辺を巡りながら、私たちの生活に溶け込んでいるさまざまなものの歴史を感じることができます。

道路には日本発祥のモチーフがある

馬車道には、たくさんの日本発祥をモチーフにしたタイルや像があります。

景色を見渡しながら、歴史を感じる魅力的な建物を眺めるのはもちろん、少し視線を下に向けながらいろいろなモチーフを見つけて歩くのも楽しいですね。

今でも当時の雰囲気を感じることができる馬車道。

横浜だけでなく、日本の近代化に大きく貢献した歴史を感じながら、ゆっくりと巡るのはいかがでしょうか。横浜三塔が見られるスポットを巡り、お願いごとも叶えられるといいですね!

【スポット情報】馬車道

  • 住所: 神奈川県横浜市中区
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