安産や縁結びに!女性に人気の「芝生浅間神社」

横浜市西区浅間町にある「芝生浅間(しぼうせんげん)神社」は、かつて袖すり山と呼ばれていた丘の上に鎮座しています。源頼朝とゆかりがあり、1080年に創建された歴史のある神社です。その建築様式は全国的にも珍しい浅間造。

縁結びの他に、安産や子育ての神様のため女性から人気があり、県内外から多くの参拝客が訪れています。6月に行われる「例大祭」や境内にある古墳群など見どころも多く、地元の方々に愛されている神社です。

今回は「芝生浅間神社」の歴史や見どころについてご紹介します。

芝生浅間神社とは

芝生浅間神社は、1080年(承暦4年)源頼朝によって創建されたといわれており900年以上に渡り浅間町を見守ってきた氏神様です。

長い歴史の中で、関東大震災や戦災により消失し、現在あるものは戦後に木造で再建されました。

横浜の街並みを背に映える、まっ赤な鳥居がとても印象的な芝生浅間神社。鎮座している袖すり山があるのは浅間町ですが、昔は芝生(しぼう)町と呼ばれていました。

しかし、明治34年(1901)に地域住民から「死亡」と同じ音である「芝生」では縁起が悪いという声があったため、浅間神社から名前をとって浅間町と呼ばれるようになったのです。神社から名前をいただくというのは、それだけ地元の方々から愛されていたことがわかります。

境内には富士山の五合目にもある小嶽社、稲荷社、幕末から明治にかけて国事により亡くなられた人々の霊魂をお祀りしている招魂社があります。

「浅間」はせんげんと読みますが、もともとは「あさま」と読みました。

あさまの意味は「あさくま」で、湧き水が浅く隈なく流れ出るところで祭りが行われたことに由来しています。

貴重な建築様式の「浅間造」

芝生浅間神社は、全国的にも珍しい「浅間造」をしているのが特徴です。

浅間造とは社殿の上にさらに別の社殿が載った二階建ての建築様式で、神社としては特殊な建築様式をしています。

なんと全国1,300社以上ある浅間神社の中でも4社のみ!大変貴重なものであることがわかります。他には、総本山である富士山の本殿・静岡浅間神社の拝殿・多摩川浅間神社の本殿が浅間造で建てられています。

富士山を信仰する浅間神社  

芝生浅間神社の他にも全国各地にある浅間神社は、日本一の山・富士山を信仰する神社で「富士信仰」や「浅間信仰」と呼ばれました。

奈良時代以降、富士山周辺を中心に関東や東海地方で盛んになりました。総本宮は、静岡県富士宮市にある富士山本宮浅間大社です。

男らしいイメージの多い「山」ですが、その美しさから、富士山は「女神」として祀られました。

女性の守護や安産や縁結びに強い神様

芝生浅間神社の祭神は、日本神話にも出てくる「木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」で、縁結びのご利益があると評判です。縁結びの他に、安産や子育ての神様として多くの女性から人気があります。

「木の花」とは桜のことで、桜の語源となった神様とも言われ、美しさと短命が特徴。そのため、全国に多くある浅間神社では桜の木が多く植えられています。芝生浅間神社も桜の名所として知られており、見頃の季節には多くの花見客が訪れます。

桜の木の下にはベンチが設置されていて、晴れた日にはランドマークタワーなど横浜の街を一望出来るスポットです。

芝生浅間神社の密かな魅力は「ハート」の灯篭。表参道にある灯篭のハートが可愛いんです!

一般的には「ハート」と呼ばれますが、実は「猪目「(イノメ)」と呼ばれる日本古来模様のひとつです。

女性の神様なので、可愛らしいデザインなのかなと思いましたが、きちんと伝統があったんですね。神社とハートのコラボレーションは、写真を持っているだけでご利益がありそうです。

境内に残された横穴古墳群

このあたりには、千年余り昔の古墳時代に盛り土をした高塚と、自然の丘の横に穴をうがった横穴があります。有力豪族の墓とみられるものが多く、境内には少なくとも10以上の横穴古墳があったそうです。

その内部にはいくつかの玄室と呼ばれる部屋があり、その中から須恵器の瓶、平瓶などが出てきました。

のちに、この横穴古墳は富士山まで通ずるといわれて「富士の人穴」と呼ばれ、富士山を信仰する人々の聖地とされました。

横浜の街を行き交う人々が通る場所として、人馬の休憩所「立場(たてば)」といわれて賑わっていたそうです。江戸時代には、当時のベストセラー観光ガイドブック「江戸名所図会」にも名所として掲載されていました。

一足早く賑わう「例大祭」

毎年6月には「浅間さまのお祭り」の名で親しまれている「例大祭」が行われます。地元の方々を中心に、県外からも多くの人々が訪れます。

お祭りの際には、海道沿い600mに渡り500店ほどの露店がずらりと並びます。一足早い夏祭り気分で、浴衣を着て参加している方も多いです。

近年お祭りでの露天も減ってきているところが多いですが、圧巻の露店風景は見応えがありますよ。

この露店での1番人気は「広島お好み焼き」。毎年長蛇の列ができるほどの人気があります。

お神輿は横浜駅近くのルートを渡るため、タイミングが良ければ間近でみることができます。

実はこの神社の裏手にある石段は、1943年の黒澤監督の映画「姿三四郎」のロケ地でもあります。

映画の中には、横浜大空襲で消失する前の芝生浅間神社の姿や街並みを見ることができます。芝生浅間神社を訪れる際には、現在の姿と見比べてみるのも楽しいですね。

神社には浅間幼育園(認可保育園)が隣接されています。昭和24年に建てられた歴史ある保育園で、地域の方々に愛されているのが伝わります。

900年以上に渡り浅間町を見守り、地元の方々からも愛されてきた芝生浅間神社。

珍しい浅間造や古墳群にイノメなど見どころの多い神社です。横浜周辺を訪れた際にはぜひ訪れてみてくださいね。

【スポット情報】
芝生浅間神社
住所:神奈川県横浜市西区浅間町1-19-10
アクセス:横浜駅から徒歩13分
駐車場:2台