日本の開国は横浜で始まった。ペリー横浜上陸の歴史

ペリーがアメリカから黒船に乗って浦賀沖(横須賀市)に来航したことをきっかけに、日本では200年以上続いていた鎖国が終わり、開国しました。このできごとは、歴史の授業で習って覚えている人も多いのではないでしょうか。

軍艦は真っ黒に塗られていたため、ペリー一行が乗った船は「黒船」と呼ばれました。黒船は、1853年に浦賀沖に一度やって来ただけではありません。実はその翌年、横浜にも来航しているんです。

横浜がいまのような国際貿易港になったのは、この横浜へのペリー来航が大きく影響しています。そこで今回は、ペリーの横浜上陸の歴史を紐解いてみたいと思います。

開国を迫られても、回答を保留にした日本

(出典:横浜市ホームページ

1853年、アメリカの軍人・ペリーが率いる4隻の軍艦が浦賀沖に現れたのは、日本に開国を求めるためでした。19世紀のアメリカは工業が発展し、アジア進出を狙っていたのです。しかし、日本が鎖国していたため、中国へ行くとなると大西洋からのルートで行かざるを得ず、イギリスより不利な条件になってしまっていました。

加えて、当時の太平洋では捕鯨が行われていて、石炭などの燃料を補給する中継地として日本を使いたかった、という思いもあったようです。

江戸幕府は、突然アメリカからやってきたペリーの強い態度に押されて、開国を求める「国書」を受け取ったものの、その場で開国の判断はせず回答を保留にします。

ペリーが横浜へ来たのは、2回目の日本来航だった

(出典:横浜市ホームページ

ペリー一行がいったんアメリカに帰国したあと、日本は鎖国を守るのか開国するのか、大きく混乱することになります。諸大名は意見が真っ二つに分かれ、幕府は統一する力を失っていました。

さらに、ペリーの再来に備え、武士たちは武具を買い揃えるため生活が苦しくなっていきました。また、村人たちも諸大名が警備を行うための荷物を運ぶことになり、これまでのように農業ができなくなっていたのです。世の中は緊張と混乱に陥っていました。

そのような中、翌1854年、ペリーは日本にいよいよ開国を迫るため、今度は軍艦7隻という大所帯で再来します。

ペリーは幕府がある江戸に近い場所での交渉を望みましたが、幕府は逆に、安全を確保するなどの理由から、江戸からできるだけ離れた地にしたいと考えました。この両者の思惑が合致した場所が、横浜だったのです。

この横浜への再来をきっかけに、ペリー一行と江戸幕府は交渉を4回も重ね、日本はついに200年もの鎖国の歴史を終わらせて、開国することになりました。このときに結ばれたのが、日米和親条約です。

ペリーが横浜に来たのは2度目の日本来航であり、日本が開国する大きな一歩となるできごとだったのです。

日本とアメリカとの贈り物交換

日米和親条約が結ばれたとき、アメリカからは、武器や書籍のほか、4分の1サイズの蒸気機関車や電信装置などの工業製品が多く贈られました。

当時の日本人にとっては、いずれも初めて目にするものばかりだったでしょう。鎖国していた200年以上の間に、外国がこんなにも技術が進んでいたことを目の当たりにして、大きなショックと驚きがあったと思われます。

そして日本からは、米俵や絹の織物、陶器などが贈られたとされています。さらには、力士を呼び、米俵を運ばせたり稽古を見せたりして、外国人にも負けない大男がいることを示したそうです。

ペリーと江戸幕府が交渉した場所はどこ?

横浜にペリー一行が上陸して、江戸幕府と交渉をしたのは、急ごしらえで建てられた応接所でした。いまの大さん橋近くにある、横浜開港資料館や神奈川県庁のあたりだといわれています。

横浜の地で日米和親条約が結ばれたあと、日本は急速に国際化が進み、5年後の1859年には横浜が開港。日本トップクラスの貿易都市として発展していったことは、いまを生きる私たちも実感できると思います。

横浜開港資料館には、ペリー来航にまつわる貴重な資料などが多く保存されています。新館にある展示室では、ペリーが来航した頃の日本や横浜の様子がわかる展示物や、ペリーが日本からアメリカに戻って書き記した書物「日本遠征記」に関する資料が見られます。

また、ペリーが乗ってきた黒船の模型もあり、こうした展示物からも当時の様子を感じられるでしょう。

日本の歴史を大きく変えた開国の条約が結ばれた横浜の地で、歴史を振り返ることができる貴重なスポットです。近くに行った際には、ぜひ横浜開港資料館にも足を運んでみてくださいね。

【スポット情報】

横浜開港記念館

  • 住所:神奈川県横浜市中区日本大通3
  • 電話::045-201-2100
  • 入場料:一般(高校生以上) 200円、小中学生および横浜市内在住の65歳以上 100円
    ※団体割引あり
    ※土曜日は、小〜高校生無料
  • 開館時間: 9:30~17:00(入館16:30まで)
  • 休館日: 月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)、年末年始など
この記事を書いた人

  ライター名  御代 貴子
プロフィール 横浜に何かと縁があるフリーライター。幼少期の夏休みは横浜の親戚の家で過ごし、大学生活も横浜で送る。現在も神奈川県在住。東北の港町で育ったせいか、海辺の街並みが好き。趣味は飲酒しながらの料理。