110年にもわたる横浜赤レンガ倉庫の長い歴史。貿易用倉庫からショッピングスポットに生まれ変わるまで

(出典:横浜赤レンガ倉庫公式ホームページ)

みなとみらい21地区にある赤レンガ造りの建物が、「横浜赤レンガ倉庫」です。近代的なビルが立ち並ぶ中、歴史的な雰囲気をただよわせています。

今はショッピングやグルメを楽しめるお店が入居し、多くのイベントも行われる流行スポットですが、実は、この建物は約110年前に建てられたんです。今回は、横浜赤レンガ倉庫が歩んできた歴史に迫ります。

横浜赤レンガ倉庫とは

(出典:横浜赤レンガ倉庫公式ホームページ)

みなとみらい21地区の海のそばにある、横浜赤レンガ倉庫。いずれも3階建ての1号館と2号館が、隣り合う形で建っています。みなとみらい線馬車道駅または日本大通り駅から徒歩約6分の場所にあります。

建物の中には、ショッピングやグルメを楽しめる数々のお店やイベントスペースがあり、休日にもなると多くの人でにぎわいます。歴史を感じる雰囲気、さらには海を間近にしながら買い物や食事ができることで人気です。

季節ごとにさまざまなイベントも行われており、冬に開かれるクリスマスマーケットは、特に人気を集めています。

横浜の歴史とともに存在してきた、横浜赤レンガ倉庫

今となっては人気のショップも多くあり、流行を感じられる横浜赤レンガ倉庫ですが、経済産業省の「近代化産業遺産」に認定されていたり、「ユネスコ文化遺産保全のためのアジア太平洋遺産賞」優秀賞を受賞したりしている、由緒ある建物なのです。

横浜赤レンガ倉庫が建てられたのは、約110年前です。その名の通り倉庫として使うため、1911(明治44)年に2号館が、そして1913(大正2)年に1号館がそれぞれ竣工されました。この当時は横浜港での外国貿易が盛んになり、貨物の急増に対応するために倉庫が必要だったのです。

それにしても、1号館より2号館が先に建てられたとは不思議な歴史ですよね。その名残なのか、今も横浜赤レンガ倉庫の公式ホームページでフロアガイドを見ると、2号館のほうが先に紹介されています。

横浜赤レンガ倉庫は、その後、激動の歴史とともに歩みを進めます。1923(大正12)年の関東大震災で半壊し、その後7年をかけて修復されました。そして第二次世界大戦では、軍事物資の補給基地として使われました。終戦後はアメリカ軍に接収され、港湾司令部として使用された歴史をもちます。

そして、ようやく倉庫としての役目を再スタートさせたのは、1956(昭和31)年。これ以降の時期は海外との取引が活発になり、貨物量は戦前よりも多くなりました。1970年代の主な輸入品は羊毛、輸出品はタイヤや光学機械、合成樹脂だったそうです。

このように、横浜赤レンガ倉庫は、日本の戦後の高度経済成長を貿易面から支えてきた歴史をもちます。ショッピングスポットしか知らない世代にとっては、「倉庫」という名前なのだから昔は倉庫だったのだろうと想像できても、なんだか不思議な気持ちになりますね。

倉庫の役目を終え、第二の歩みが始まる

海外貿易で大活躍していた横浜赤レンガ倉庫でしたが、新しいふ頭が整備されるとともに、その用途は減っていきます。そして1989(平成元)年、倉庫としては廃止され、休眠期間に入ることになりました。

この時期に開発が進んだのが、みなとみらい21地区です。その一環で、横浜赤レンガ倉庫は1992(平成3)年に横浜市が国から取得し、保存のための改修が始まりました。

改修が始まった当時の横浜赤レンガ倉庫の壁は、落書きだらけだったそうです。さらに屋根や窓は改修しなければならず、構造補強の必要もあったため、改修工事は9年にもおよびました。

その改修期間中に、リニューアル後は「港の賑わいと文化を創造する空間」をコンセプトとすることが決まり、2002(平成14)年、ついに再オープンを果たします。

レストランやショップ、文化施設が入り、第二の役目をスタートさせた横浜赤レンガ倉庫には、この年、のべ569万人もの来場者が訪れました。

2022年、大規模改修工事を経て再オープン

(出典:横浜赤レンガ倉庫公式ホームページ)

その後も多くの人でにぎわい続けた横浜赤レンガ倉庫は、開業から20周年を迎えた2022年5月から大規模改修工事が行われ、同年12月に再オープンしました。

リニューアルオープンのコンセプトは、「BRAND NEW “GATE”」。横浜と世界、日常と非日常、過去と未来をつなぐ新しい扉(GATE)と位置付け、コンセプトに沿ったさまざまな楽しみ方ができるようになっています。

ショップは約3分の1が新規出店。そして、フードコートにテラス席ができたり、2号館2階にはみなとみらいの景色を一望できるソファ席が置かれたりするなど、このロケーションならではの眺望が味わえるようになりました。

そして、1号館には、横浜赤レンガ倉庫の歴史を振り返る展示スペースが設けられました。戦前から今までの歩みを、デジタルサイネージのスライドショーも交えて見られます。

歴史を大切に守りながら、進化を続けている横浜赤レンガ倉庫。何度訪れても、違う過ごし方ができそうです。ぜひ、海を眺めながら、家族や友達と買い物や食事などを満喫してください。

【スポット情報】

横浜赤レンガ倉庫
住所: 神奈川県横浜市中区新港1-1
営業時間: 1号館 10:00~19:00、2号館 11:00~20:00 
※カフェ・レストランの営業時間、および1号館2階スペース、3階ホールの営業時間は店舗により異なります
URL: https://www.yokohama-akarenga.jp/

この記事を書いた人

  ライター名  御代 貴子
プロフィール 横浜に何かと縁があるフリーライター。幼少期の夏休みは横浜の親戚の家で過ごし、大学生活も横浜で送る。現在も神奈川県在住。東北の港町で育ったせいか、海辺の街並みが好き。趣味は飲酒しながらの料理。

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