老舗のコーヒーハウス「ザ・カフェ」で、横浜伝統の洋食を!

1927年(昭和2年)に創業し、国際都市である横浜で迎賓館としての役割を担い、今もなお日本を代表するクラシックホテルとして多くのゲストを迎えている「ホテルニューグランド」。その本館1階にあるカフェレストランが、「コーヒーハウス ザ・カフェ」です。

ホテルニューグランドは、戦前の日本に洋食を広めた立役者です。ザ・カフェには、このホテルで生み出された洋食メニューやコース料理、軽食やスイーツまでが揃い、さまざまなシーンで私たちを楽しませてくれます。

今回は、そんなザ・カフェで味わえるメニューの数々や、その誕生秘話をご紹介します。

日本の定番洋食メニューが生まれた場所

ホテルニューグランドといえば、富士屋ホテルや日光金谷ホテルと並ぶ、日本を代表するクラシックホテルです。その格式の高さから、日常的に訪れることは少なそうですが、本館1階のコーヒーハウス「ザ・カフェ」は、ホテル内のレストランの中でもカジュアルに利用できるカフェレストランです。

みなとみらい線元町・中華街駅1番出口より徒歩1分の場所にあり、営業時間は10:00〜21:30。ブランチやランチ、ティータイム、夕食と、多くの使い方ができます。

多彩なメニューが並ぶザ・カフェの中で、外すことができない3つの定番料理が「シーフードドリア」(2,909円)、「スパゲッティ ナポリタン」(2,277円)、「プリン ア ラ モード」(1,897円)です。いずれも日本人にとっておなじみのメニューですよね。この3品はホテルニューグランドで生まれ、日本全国へ広がっていった料理なんです。

(現在は価格が改定されています)

ザ・カフェのメニューには「伝統の3品」と書かれ、それぞれの誕生ストーリーも紹介されています。ザ・カフェにとっても特別なメニューであることが感じられますね。

この他にも、ザ・カフェにはビーフカレーやオムライス、ハンバーグステーキ、海老フライなど、定番の洋食メニューがあります。奇をてらわないメニューの数々からは、老舗のカフェレストランである誇りを感じます。洋食好きなら一度は訪れてみたいお店ではないでしょうか。

シーフードドリアは、体調を崩したお客さんへの即興料理だった

ザ・カフェの3つの定番メニューのうち、一番の人気を誇るのがシーフードドリアです。

ホテルニューグランドの初代総料理長サリー・ワイルが、体調を崩した滞在客から「何か喉ごしの良いものを」というリクエストを受けて、即興で作ったことが誕生のきっかけです。好評を受けてレギュラーメニューとなったシーフードドリアは、他のお店にも広まり、やがて日本全国で人気の洋食となっていったのだそうです。

熱々のドリアをスプーンですくって一口食べると、ソースにギュッと詰まった魚介の旨味が口の中いっぱいに広がります。プリプリのエビ、そしてしっとりとしたバターライスにソースがよく絡んで、エピソード通り、喉ごしも抜群です。

この料理が誕生するきっかけとなった体調を崩したお客さんは、優しい味のドリアを口にして、さぞ喜んだことでしょう!

体調を崩した滞在客のリクエストによってシーフードドリアが日本で生まれたと知る人は、少ないのではないでしょうか。ストーリーを聞いてからドリアを味わうと、また格別な味がすると思います。

アメリカ進駐軍がきっかけで生まれたメニュー

(出典:ホテルニューグランド公式ホームページ)

スパゲッティ ナポリタン、プリン ア ラ モードにも誕生秘話があるんです。

第二次世界大戦後、ホテルニューグランドは進駐軍に接収されます。開業してわずか18年後のことでした。その後、さまざまな進駐軍文化が横浜にもたらされることになります。

2代目料理長の入江忠茂が、軍用の保存食だったスパゲッティとケチャップを和えて食べている軍人の姿をヒントに生み出されたのが、スパゲッティ ナポリタンです。

ザ・カフェのスパゲッティ ナポリタンは、トマトケチャップではなく、生のトマトとトマトペーストを使ったソースであることが特徴です。これは、入江料理長がホテルで出すスパゲッティとしてふさわしいものにしたいと思い、改良を重ねて仕上げたレシピとのこと。格式高いホテルで味わうナポリタンは、日本の家庭料理とは一味も二味も違う仕上がりになっています。

(出典:ホテルニューグランド公式ホームページ)

そしてプリン ア ラ モードは、当時のパティシエが、進駐軍のアメリカ人将校夫人たちを喜ばせたいと思って生み出されたデザートです。見た目にも華やかで、満足できるボリュームのデザートに仕上げるために、プリンをアイスクリームや生クリーム、果物で飾り付けました。

こうした洋食メニューの誕生秘話を聞くと、古くからの国際都市である横浜で、歴史とともに歩んできたホテルニューグランドだからこそ生み出されたように感じます。

ホテルニューグランドの周辺には、山下公園をはじめ、元町や中華街など見所がいっぱいあります。横浜の魅力をたっぷりと感じられる1日を過ごして、歩き疲れたらザ・カフェでおいしい料理に舌鼓……そんな休日を過ごしてみてはいかがでしょうか。

【店舗情報】
コーヒーハウス ザ・カフェ
住所: 横浜市中区山下町10番地 ホテルニューグランド 本館1階
TEL: 045-681-1841
営業時間: 10:00~21:30(ラストオーダー21:00 コースのラストオーダーのみ20:30)
定休日: なし
URL: https://www.hotel-newgrand.co.jp/the-cafe/

※価格はすべて消費税・サービス料込です

この記事を書いた人

  ライター名  御代 貴子
プロフィール 横浜に何かと縁があるフリーライター。幼少期の夏休みは横浜の親戚の家で過ごし、大学生活も横浜で送る。現在も神奈川県在住。東北の港町で育ったせいか、海辺の街並みが好き。趣味は飲酒しながらの料理。